ベイルの知る人ぞ知る極上コース
アメリカ、コロラド州のベイル・スキー・リゾートには、地元っ子だけが知っている極上のスキーコースがある。
ベイル・スキー・リゾート
ベイル・スキー・リゾートは、アメリカ、コロラド州のほぼ人が住んでいない渓谷に2基のチェアリフトと アメリカ初のゴンドラ1基を備えて1962年にオープンした。建設にかかった期間はわずか6カ月。 世界一のスキーリゾートを目指し、やがて「地球上で唯一無二 の場所(Like No Place on Earth)」というキャッチフレーズを掲 げたベイル・スキー・リゾートの成功は、1970年代に州都デンバーと結ぶ高速道路が開通したことで確かなものとなった。 現在では195本ものスキーコースや、バックカントリースキーエリア、木々の間を滑り抜ける林間コースが呼び物になり、まさに唯一無二の、ワールドクラスのスキー場に成長。山頂に立って見渡せば、圧雪ゲレンデはもちろん、挑戦しがいのありそうな バックカントリーなど、ルートを考えるだけでもワクワクしそうな約2150ヘクタールの滑走エリアが広がる。そんな同スキーリゾートの数あるコースの中でも、一般のスキーヤーにあまり知られていない極上コースをレベル別に紹介しよう。
初心者向け
Northeast Bowlエリアの14番リフト沿い にある3つのコース「Tin Pants」「Boomer」「Sourdough」は、初心者向けで距離が比較的短く、混雑を避けてターンの練習をするのに最適だ。整備が念入りにされており、 北向き斜面なので雪はいつも柔らかい。Game Creek Bowlエリアのコース「Lost Boy」(「いなくなった少年」の意味)は、当時未開発だった区域に入り込んで迷子になった14歳の少年(その後、自力で生還!)にちなんで名付けられた。ここも整備の行き届いた初心者向けコースだが、より距離が長い。午後は日当たりが良く、寒い日でも比較的暖かく滑れる。また、このコースで利用する7番リフトは周囲にある中・上級者向けコースの最寄りリフトでもあるため、レベルの違う家族連れも自分に合ったコースを滑った後、リフト乗り場で合流できる。 19番ゴンドラの終点からスタートするコー ス「Simba」はカーブの多い開放感のある長距離コースで、山頂からベースエリアまで 一気に滑り降りられる。このエリアはアクセスしやすい割にほぼ混雑していないので、朝一番のウォームアップにぴったりだ。
中級者向け
ベイル・スキー・リゾートは、中級者向け コースの充実度でよく知られている。中でも お薦めは11番リフトで行く、圧雪された長距 離コース「Northwoods」だ。ここはなだらかな起伏のある地形で、急勾配を滑り降りた後に一休みする場所もある。コース名から分かるように北向きのため、直射日光を避けてソフトターンなどの練習をしたい時に最適。一日中繰り返し滑って練習する場所としてもちょうどいい。 バックカントリースキーに挑戦したいなら、 手始めに「Poppy Fields East」と「Poppy Fields West」の2コースを滑ってみよう。ど ちらも樹木のない広く開けた斜面で、バック カントリーの醍醐味が味わえる。入り口は 14番リフトの終点から少し歩いて、尾根を越えた場所にある。Blue Sky Basinエリアはベースエリアから最も遠い場所にあるが、中級者以上なら素晴らしいスキー体験ができるはずだ。37 番リフトと並走する「Big Rock Park」と、39 番リフトの終点からスタートする「Grand Review」は、どちらも広い樹間を縫って気持ち良く滑り降りて行ける。
上級者向け
上級者限定コース「Riva Ridge」は最も距離が長く、4番リフトの終点からベースエリアVail Villageまで急斜面が6キロ以上続く。特に整備したての時間帯は、急斜面好きにはまさに夢のようなゲレンデとなる。 柔らかい雪やテクニックが試される地形が好みなら、コースの両サイドに木々の間を縫って滑れる林間コースがある。ここはあまり知られていないが、朝のパウダースノーを楽しみたい時にイチオシのコースだ。バックサイドエリアの上級者向けコース 「Forever」は、Sun Down Bowlエリアと Sun Up Bowlエリアを隔てる尾根沿いを走る5番リフトの終点がスタート地点。ここで待ち受けるのは、大きな窪みや不均衡な勾配など超難関の地形だ。加えて無数の脇道があり、急勾配のこぶや樹間のルート、“崖降り”ができるスポットもある。たまにしか整備されない上級者向けの「Blue Ox」と「Highline」は、この辺りでも特に距離が長く、急勾配のこぶのあるコースだ。10番リフトで上れるが、リフト待ちの列ができたことはなく、楽に降りて来られる方法もない。vail.com
ベイルで泊まりたいホテル
登山とスキーを愛する2人の男、アール・ イートンとピート・セイバートは60年前の ある日、共に山を登った。そして7時間かけ てたどり着いた山頂で山の背後を見下ろし た時、2人は思った。「ついに天国を見付けた」―― そこに広がっていたのはパウダース ノーに覆われた、どこまでも続く銀世界だっ た。その後、2人は必要な認可や融資を迅速に取り付け、1962年夏、その山にスキーリ フトを設置し、ゲレンデを整備してベイル・ス キー・リゾートをオープンした。 そんな、ベイル・スキー・リゾートに昨年、 新たな高級ホテル、ザ・ハイス・ア・ラグジュ アリー・コレクション・リゾート・ベイル(「ハイス(hythe)」とは古英語で「安息の地」の 意味)がオープンした。ホテルはイートンとセイバートが登った日の山のモノクロ写真を大 きく引き伸ばして公開。そこにはコースのレイアウト案が2人の手書きで書き込まれていた―― リゾートの構想は、天国を見付けたあの日から明確だった。 ロビーにあるバー、10th Mountainもリゾートの歴史に敬意を表している。店名は ホテルと提携する地元の蒸留所の名前だが、セイバートが第二次世界大戦従軍時に所属した「第10山岳師団(10th Mountain Division)」にもちなむ。この師団はアメリカ陸軍の精鋭スキーヤー集団で、イタリア北部での戦闘に投入されたが、帰還できたのは半数だけだった。その帰還兵の多くがベイル・スキー・リゾートの建設に従事し、未開発の地をスキー天国に生まれ変わらせた。ホテル内のレストランMargie’s Haasでは、第 10山岳師団が派遣されたイタリアとオーストリアのアルプス地方の味を楽しめる。兵士たちはよく、地元の料理人の自宅で時を過ご したという。店名はその料理人の名前「マルギー」にちなんで名付けられている。 ザ・ハイス・ア・ラグジュアリー・コレクショ ン・リゾート・ベイルは地元の歴史に根差しながらも、現代の旅行者が一流ホテルに求めるものにも十分配慮している。スキーイン&アウト(スキーやスノーボードを履いたままの出入り)が可能な便利な立地にあり、ベースビレッジのゴンドラ乗り場までは約300メートル。カリフォルニア州のデザイン事務所Wilson Ishihara Designが手掛けた インテリアは、居心地の良い山小屋風ながらシックな趣で、ベイルらしさとモダンな感覚の融合が感じられる。 併設のスパには、スキーを一日中楽しんだ後に必要な、あらゆる癒やしのメニューがそろう。ジェットバスで体を温めた後は、全身マッサージで筋肉の疲れを取ろう。ヒマラヤ岩塩の塩分を含んだ空気を吸い込み、呼吸機能を回復させるための専用ラウンジもある。元気を取り戻したら、オリンピック選手と行くヘリスキーツアーや、暖かい季節には雪のないベイル渓谷でのフライフィッシングツアーなど、オーダーメイドのツアーをホテ ルに手配してもらおう。1泊700ドル~。 thehythevail.com
雪山がもっと楽しくなる、最新のハイテク装備
デジタルスキーコーチ
インソール型のウェアラブル機器「Carv」は片足に36個、計72個の圧力センサーを内蔵し、スキーヤーの動作を1秒に20回記録する。アプリでデータを見直せば、上達のポイントが一目瞭然。トレーニングモードでは、練習方法の動画を見た後、実際にその課題をやってみると、ヘッドホン経由でリアルタイムの音声アドバイスが受けられる。厚さ3ミリのインソールは、どんなスキーブーツにもフィット。矯正用インソールの上に重ねることもできる。価格は298ドル~。 getcarv.com
電熱グローブ
スウェーデンのブランド、Hestraのヒーター付きインナーグローブ 「Tactility Heat Liner」は画期的な加熱糸技術を採用。アプリ画面から、「リフトに乗る時は自動で加熱」「滑走中は自動で温度を下げる」などの設定ができる。価格は320ドル。hestragloves.us
スキーストック
ストックのストラップは、グローブをしていると着脱がスムーズにいかない。そんなわずらわしさから解放してくれるのが、LEKIのストックだ。 このストックには通常のストラップの代わりに特殊なリストバンドが付いており、そこにストックをつなぐようになっている。手からストックを離したい時は、ストックのボタンを押せばすぐに外れる。100%カーボン製のストック「Carbon 14 3D」(170ドル)は、市販品では最軽量クラス。 耐久性に優れた「Spitfire Vario 3D」(160ドル)は、長さを110センチから140センチまで素早く調節できる。 leki.mwrc.net
スポーツコーチングアプリ
コーチングアプリGivegoに利用登録すると、世界の一流エキスパートからスキーやスノーボードの指導が受けられる。使い方は簡単、自分の滑りを撮影した20秒の動画をアップロードし、今取り組んでいる課題を伝えるだけ。送信後すぐに、図解を添えた音声解説付きの分析動画が送られてくる。料金はレッスン1回につき15ドル~ givego.io
電熱ソックス
アウトドアブランド、Therm-icの「Sock Set V2 UNI S-1400B」は、 スキーとスノーボード用に開発された電熱ソックスだ。温度はアプリから手軽に設定可能。低めの温度設定(1~3)にすれば、一日中穏やかな温かさが続く(最大16時間使用可能)。冷え込む日は高めに設定すると、つま先まで温かい。価格は330ドル。us.therm-ic.com