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プレミアムな空間で病気の早期発見や治療が可能な、年1万ドルの人間ドックを紹介
A medical setting with several black and white MRI images displayed on a computer screen. There is a medical professional wearing a white lab coat examining the images.

ささいな出来事が看護師に疑問を抱かせた。その裕福な中年男性の患者は、近くにいたにもかかわらず、彼女が言ったことを聞き逃したのだ。彼の聴力はそれほど悪くないはずと思った彼女は、医師に報告した。医師は脳のMRI検査と聴力検査を指示、その結果、耳の近くの神経に、ごく小さな良性腫瘍が見つかり、小さな手術によって患者の聴力は完全に回復した。

こうしたことは、ジェマ・フレンチマンが勤務するロンドン中心部のクリニック、プリベンティカム (preventicum.co.uk)では珍しいことではない。クリニックがある2階建ての建物は、高級住宅街にある古めかしいクリニックというより、5つ星のブティックホテルの雰囲気に近い。ここでは血液検査からMRIまで様々な検査を実施、通常の健康診断に比べて、より高度で包括的な健康評価を行っているため、健康志向の高い1パーセントの富裕層が世界中から訪れている。人気のコースは6時間8,000米ドルのアルティメット・アセスメントで、さらに気になる症状がある場合やフィットネスの目標があれば、8時間10,300米ドルのエリート・アセスメントで追加の検査を受けられる。

2005年、当時、若手起業家だったフレンチマンはドイツで予防医療という概念に出会い、それを輸入してロンドンで起業する。病気を治療するのではなく、予防することを目的とした医療に需要があると確信した彼女は、クリニックをプリベンティカムと名付けた(その後、この事業は大手コングロマリットのInHealthに売却したが、2022年に再び経営に復帰)。クリニックには非常勤の一次診療医(PCP)10名、放射線技師3名、複数の看護師が在籍しており、8つのクライアントルームは、混雑していても他のクライアントと顔を合わせることがないよう、慎重に配置されている。

A person undergoing an exercise stress test at a medical facility while attached to various monitoring devices. The person is walking on a treadmill while a medical professional monitors their heart rate, blood pressure, and other vital signs.

顧客の大半が受ける6~8時間のコースは、肝臓や脳など軟部組織を調べる全身のMRI検査、血液検査、超音波検査(男性の睾丸も検査可能)が含まれる。また、心エコーや心臓の運動負荷試験、ほくろチェック、メンタルケアの検査には、耳の腫瘍を発見した看護師のような、どんな小さな異常も見逃さないよう訓練された優秀なスタッフが付き添っている。エリート・アセスメントのオプションは、歩行分析や脊椎のMRI検査など多岐にわたっている。

クライアントの約半分は企業の法人契約で、残りは世界各国からの個人客が占める。男女比はほぼ同じだが、設立時に比べて検診の開始年齢が下がっており、40代ではなく30代後半が一般的とのことだ。クライアントはその日のうちにすべての検査結果を持ち帰ることができ、その結果は医師とも共有し、見つかった病気はクリニックが責任を持って対処している。「あるラインまではここで治療し、他の病院に引き継いだ後もすべて管理しています。病気が見つかったのに、何もせずに帰すなんてできませんから」とフレンチマンは語る。

ある有名な英国人ビジネスウーマンの場合は、その日のうちに専門医の受診を勧めた。彼女は脳に動脈瘤が見つかっており、普段の生活には支障がないが、万が一、破裂したら致命的な事態になりかねなかった。そのため、すぐに脳神経外科に予約を入れ、その日のうちに低侵襲の血管内コイリング術で除去してもらったそうだ。

クリニックでは治療のために、アメリカや中東の専門医の予約を取ることもある。「大切なのは最先端の医療と一流のサービスが一体となること、それが安心と安らぎを生むのです」。