ユーフォリア・リトリート
ギリシャといえば、エーゲ海や地中海、イオニア諸島の真っ青な海と白い砂浜を思い浮かべるが、アテネから車で2時間半のペロポネソス半島には、古代ギリシャの影響が色濃く残っている。 ユーフォリア・リトリート (euphoriaretreat.com)は、ユネスコ世界遺産であるスパルタ近郊の神話の村、ミストラスの山中に、うっそうとした森を背景に佇んでいる。.
「ウエルネスという言葉は、“よい”という意味しかありません。でも、ウエルビーイングという言葉には、“より良く生きる”という意味があります」と、オーナー兼創業者のマリーナ・エフライモグルーは語る。「施設の名前でもあるギリシャ語の“ユーフォリア”は“富をもたらすもの”であり、それが転じて“幸福”という意味ですが、英語訳では“興奮した状態 "という訳で解釈が違っています」と説明する。松の木とオリーブの木立に囲まれた神秘的な土地を訪れたゲストは、スピリチュアルな体験を通して、興奮を覚えると同時に幸福感に包まれることだろう。
敷地内には仏像やガネーシャ像といった宗教的な像はなく、ニューエイジや、超自然現象主義の痕跡もないが、ある種のエネルギーが感じられる。「何かが起きる場所を作りたかったんです。もちろん例外もありますが、ほとんどの人に変化が訪れます。この場所は、かつて自然の癒しの場であったタイゲタス山の麓にあり、朝のエネルギーウォークでは、森の中でエネルギーを強く感じます。森には古代の女性ヒーラーたちがいて、地球と強く同調し、私たちが現れるとヒーリングを始めるのです」とエフライモグルーは語る。
古代の神秘主義を信じるかどうかは別として、ユーフォリアでは、東洋と西洋、ギリシャ医学と中国伝統医学、科学と自然主義がユニークな形で融合している。例えばヨガセッションは、月曜日は水、火曜日は木、水曜日は火、木曜日は土、金曜日は金と、曜日ごとに割り当てられた自然の5大要素に基づいて行われ、そのエレメントに沿った体の動きをする。ファイブ・エレメント・ダンスにもこの要素が取り入れられており、このプログラムは単独でも3日間のリトリートプログラムの中でも受講できる。
プログラムやリトリートの内容は多岐にわたるが、準備に数ヶ月もかかるものも多いとエフライモグルーは語る。彼女自身が担当しているリトリートは、銀行員として働いていた頃から続けているものだ。「一日の大半はビジネスに時間を割いていますが、メンターの仕事は大好きです。リトリートを行うことで、より心が落ち着き、そこから学ぶこともあります」と語る。 彼女のスピリチュアルガイドであり親友でもあるメアリーとともに行うリトリートは、いくつかのレベルがあり、上級者向けだ。一方、スパルタン・スピリット・オブ・アドベンチャー(スパルタの冒険スピリット)のようなフィットネス系のリトリートもある。「スパルタのメネラウス王とトロイのヘレンがいた円形競技場で、バイクやTRX、HIITなどさまざまな方法で、古代スパルタ式トレーニングを行うんです。とても楽しいですよ」と語る。彼女とメアリーが行うのは、エモーショナルでスピリチュアルなリトリートで、最も人気があるのは、パンデミックに着想を得たフィール・アライブ・アゲイン(生き返った気分)だ。
「人々は閉鎖的になり、普通の生活に戻れずにいました。強い恐怖心が植え付けられていたのです。瞑想や書くことを通じて、まず自分の心と向き合い、蓄積した恐怖や悲しみ、喪失感などに目を向けます。そして心を開き、不安などの感情を表に出します。そうすることで前向きな気持ちで社会と向き合えるようになるんです」と彼女は語る。「2日目はエネルギッシュな活動にシフトして、朝からファイブ・エレメント・ダンスでたくさんの動きをします。またインナーチャイルドを探したり、マンダラチャートで人生の目標を立てながら、人生の不確定要素についても考えます。最終日になるとエネルギーが高まっており、この状態を "フィール・アライブ(生き返る) "と呼んでいます」。今後については、「ギリシャ神話と現代心理学の五行説を組み合わせた、古代の神々のアーキタイプに関するプログラムを始める予定」とのことだ。各リトリートの参加者は最大8名で、小人数にすることで効果的な体験を目指している。 リトリート以外にも、ビザンチン様式ドームと心地よい波の音が楽しめる屋内円形プールや、カスタムの食事プランを提供する栄養カウンセリングプログラム、4フロアにまたがるスパ施設など、至れり尽くせりの設備が揃っている。車で40分ほどの距離にビーチがあり、リクエストすればホテルの車で送迎してくれるが、ゲストは明確な目的を持って滞在するため、敷地外に出ることは少なく、プログラムから外しているそうだ。