ステップ・バイ・ステップ
人間の活動の中で、「歩く」ことほど基本的なことはない。片足を前に出し、次にもう一方の足を出す、それを繰り返すだけだ。ウォーキングはスピードや傾斜などの負荷によって、ランニングやトレッキングに変化するが、シンプルな原則は変わらない。目的地に着くまで、一歩一歩進むのみだ。
コロラド州テルライドに、昨年オープンしたトレッキング中心のウエルネスリトリート、リセット (resettelluride.com)では、歩くことにフォーカスしたプログラムを提供している。コースは4日間と6日間のオールインクルーシブプログラム(各5,500米ドルと10,000米ドル)で、ゲスト(定員18名)は自らの精神状態や体調を勘案し、自分のペースで達成できる目標を設定する。
プログラムは朝の長時間にわたるトレッキングに始まり、プラントペースの食事、マッサージ、ヨガ、フィットネス、瞑想のクラス、夜の講義などスケジュールが目白押しだが、街を散策したり、屋外プールやサウナの利用、夕日を眺めたりと、リカバリーのための休憩も多い。
共同設立者のディラン・ベイツとホリ・オーウェンは、理学療法、ホスピタリティ、栄養学の専門知識を生かし、プログラムを細かく監修している。ゲストが滞在するのは、マデリンホテル & レジデンス・オーベルジュ・リゾート・コレクション内の専用フロアで、改装したばかりのパブリックスペースやレストランには、カウボーイの美学が見え隠れする。同ホテルの屋外プール、ジム、スチームルーム、サウナなどの施設も利用可能だ。
疲労回復を促すようにカスタムされた客室には、酸素供給システムやトリートメント用マッサージ台、瞑想用クッション、ヨガマットが備えられ、部屋で楽しむためのハーブティー、スピルリナ入り飲料水、ブルーライト用眼鏡、デバイス収納ボックス、持ち帰り可能なAcornのふかふかスリッパ、Quietのノイズ軽減耳栓、ハイキング用ソックス、レシピブック、顔や唇用のISUNの日焼け止めなども用意されている。バス・アメニティはフルサイズで、環境に配慮してプラスチックは使用していない(ここではプラスチックは見当たらない)。施設内のホスピタリティスイートでは、ゲストは食事をしたり、セルフまたはスタッフによるミネラルソルトのフットバスや人気のNormatecの空気加圧式リカバリー用ブーツによるマッサージが利用可能だ。
オリエンテーション時に伝えられた「誰もが自分なりの方法でリセットする 」という方針は、モーニングドリンクでも貫かれている。夜明けにコンシェルジュチームがゲスト一人ひとりに届ける飲み物は、カフェインOK(ただし、ミルクはすべて植物性)で、一日の終わりにアルコールを飲むことも許されている。プログラムは栄養とフィットネスに重点は置いているが、目標は健康であることで、減量は必ずしも必要ではない。そのためビフォーアフターを比較したい人は、フィットネス & ヨガセンター(村の向かい側)にあるハイテク体組成計を使って部位別の体脂肪測定をリクエストしよう。
サンフアン山脈を4時間かけて歩くトレッキングは、素晴らしいの一言に尽きる。ネイチャーガイドの案内で歩く道のりは決して楽ではないが、滝や高山湖、熊の足跡、息を呑むような絶景を目の当たりにすると、息苦しかったのが嘘のように感じられ、自分の中のバランスや将来の展望を見つけるのは、さほど難しいことではないと思えてくるのだ。