ティーツーリズム(茶や茶文化を巡る旅)
お茶を飲むという行為を、日本人は芸術まで昇華させている。「茶道」と呼ばれる、複雑かつ洗練された日本文化は、抹茶や茶葉を熱湯で煎じ、和菓子(お茶の香りを引き立てる、季節感あふれる小菓子)と一緒にいただく一連の作法からなる。茶道が披露される茶室は、心穏やかにするため、静かでシンプルな庭に囲まれている。小石を敷き詰めた小道が茶室の入り口まで続き、石の手水鉢で手を洗ってから茶室に入ろう。
日本に初めて緑茶を持ち込んだのは禅宗の開祖だと言われており、当時、お茶は、僧侶や将軍、皇族しか手に入れることができない貴重品だった。 一般に普及した後も茶道文化は残っている。
茶事と呼ばれる公式の茶会では、手の込んだ懐石料理から始まり、濃茶、薄茶と、数時間かけてお茶を楽しむ。現代の茶会は簡素化され、和菓子と薄茶1〜2杯に軽い食事というシンプルなものが多く、各地の寺や日本庭園、ホテルのティーマスターが抹茶を点て、小さな和菓子とともに提供している。
東京の新宿御苑では、伝統的な茶室2カ所で、ガイド付きの瞑想体験コースがある。実際にお茶を飲みながら、客人は飲む前に茶碗のぬくもりや磁器に映る鮮やかな抹茶の緑色を拝見するなど、茶道の心得である「和敬清寂」を体験できる。
日本の伝統文化の中心である京都には、由緒ある茶の湯を体験できる寺がある(予約制)。仁和寺では有名な画家の尾形光琳(1658-1716)と弟の尾形乾山(陶芸家)の私邸だった築250年の茶室を使って、本格的な茶道が体験できる。兄弟が作った陶芸品は、後の京都の陶芸スタイルの基礎となっており、現在も寺の茶会で使われている。大徳寺は史上最高の茶人として知られる千利休(1522-1591)ゆかりの禅寺で、僧侶がお茶を点て、茶道に由来する16世紀のことわざ「一期一会」(一生に一度の出会いと心得、誠意を尽くし臨むべきであるという考え)で禅の教えを説いている。
500年の歴史がある九州の茶農園では、カリフォルニアのワインカントリーのような体験ツアーやテイスティングが観光客や地元住民の間で人気を集めている。ツアーは専用ティーバトラー付きで、コンシェルジュによるお茶のテイスティングや料理とのペアリング、生産者との対話、さらに、お茶を片手に緑豊かな茶畑のウォーキングやサイクリングが楽しめる。
京都の伝統的な茶席: weft-hospitality.com
九州でティーバトラー付きのテイスティング: tea-tourism.com
茶と茶文化のツアー: goldbergontravel.com